1日目・基調講演 駒井知会さん
 日本における難民認定制度と日本社会の未来
 ~難民の悲劇は、『遠い国の話』じゃない?~     
  日本に暮らす難民たちと私たちを巡る問題
              6月17日(土)午後

 

テレビや新聞等で「難民問題」に接することは少なくありませんが、日本社会に暮らす私たちにとっては、まだ他人事のように感じることはないでしょうか?

 

飛行機が世界各地を結ぶ現代、日本にも安全を求めて避難してくる人々がいます。

「昨日までは人生に絶望しかなかった。でも、今日からは、小さな希望を持って生きていけます」

恐ろしい迫害を逃れて来日し、長い歳月を経て難民認定された、ある難民の言葉です。

 

昨年、日本に庇護を求めた人々の数は、1万901に上りました。

ある方は、本国における過酷な体験から受けた深い傷を身体と心に刻んだまま…ある方は、家族と離れ将来の見えない不安に耐えながら…。言葉も習慣も分からない、時には知る人すらない「日本」にやって来て庇護を求めた方々のうち、難民認定を受けられた方々は、昨年僅か28名、認定率は僅かに約0.3%でした。他のG7諸国と比較して、桁が優に2つは違う圧倒的な低認定率。

「偽装難民」という言葉があります。確かに、申請者の中には「偽装」の方もおられるかもしれませんが、全体の99.7%迄がそうであると語ることは、あまりに実態と乖離していると考えます。

日本は、「難民の地位に関する条約」等に加入し、難民保護を国際的に約束しています。

 

日本の難民認定制度は、真に保護を必要とする「難民」に保護を与えることができているのか。現状、日本を頼ってきた難民認定申請者が、この『おもてなしの国』にあって何に苦しみ、途方に暮れているのか。私たちが、受け入れるべき方々を受け入れた上で、彼らとどう向き合い、どう共生していけるのか、ぜひ御一緒に考えさせて戴けましたら幸いです。

 

<弁護士 駒井知会さん・プロフィール>

 

東京大学大学院法学政治学研究科修士課程卒(法学修士号取得)

オックスフォード大学難民研究プロフラム修士課程卒(強制移住修士号取得

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス法学修士課程卒(法学修士LLM取得

200710月弁護士登録(横浜弁護士会)

20134月東京弁護士会に移籍、マイルストーン総合法律事務所入所。

 

弁護士会・弁護士会連合会等の外国人の人権に関わるプロジェクトチームに所属、また、委員長を務める等しながら、外国人の人権救済のための取り組みを続けている。東京女子大学、白百合女子大学にて非常勤講師として勤務。

 

・日本弁護士連合会・人権擁護委員会内・入管法プロジェクトチーム等所属

・関東弁護士会連合会・外国人の人権救済委員会・2014年度委員長、同委員会・入管プロジェクトチーム及び難民プロジェクトチーム所属

・東京弁護士会 外国人の権利に関する委員会 2016年度委員長、同委員会・入管収容プロジェクトチーム所属


2日目・講演 斉藤善久さん

 ベトナムから見る技能実習制度の闇

              6月18日(日)午前

 

 2016年は、技能実習制度にとって大きな転換点となる年でした。11月には技能実習法が成立し、今年11月には新たな体制がスタートします。しかし、技能実習法にも大きな欠陥があり、根本的な改善は望み薄である一方、制度の大幅な拡大が図られています。

 

 他方、昨年に新規入国した技能実習生は、2011年時点の66,252人から急増し、106,131人(60.2%増)と初めて10万人を超えました。特に、ベトナムからの技能実習生の増加は著しく、数年前までほぼ4分の3を占めていた中国に代わって、ベトナムからが4割強と最も多くなり、初めて中国を超えました。

 

 このように技能実習生の送出し国構成が劇的に変化する中、ベトナムの『労働力輸出』政策の実態と問題点を把握することは喫緊の課題となっています。

 

 本講演では、ベトナムで送出し機関に関する現地調査を行ってきた経験・分析を踏まえて、日本国内における技能実習制度に対してどのような問題を投げかけているか、また、そうした課題の克服に向けてどのように取り組んでいくべきか、お話しいただきます。

 

 

<神戸大学教員 斉藤善久さん・プロフィール>

 

神戸大学大学院国際協力研究科准教授・法学博士

 日本・ベトナムの労働法を研究。

 ベトナムで送出しビジネスの実態調査をした経験をもとに、「技能実習法」に関して参議院法務委員会で参考人として意見陳述。

 著作:「ベトナムの労働法と労働組合(明石書店・2007年)」

 論文:「ベトナムにおける『労働力輸出』産業の実態と問題点」(季刊労働法No.248号)、「外国人技能実習適正化法案」(季刊労働法No.251号)